パーマカルチャーの世界⓶-2 原点

半農半Xの仕掛け人

2016年11月10日 07:37

 建築家としても有名なバックミンスター・フラーの「宇宙船地球号操縦マニュアル」の日本語訳本が1985年に出版された。
 そして、2006年「パーマカルチャーしよう!」糸長浩司監修の日本初の本が紹介された。パーマカルチャーの全体をカバーし入門書としてとても読みやすい本なので一読をお勧めします。


  人は本能に無自覚ではあるがシッカリ支配されている原点である。
 ガイア仮説:1960年代NASA(アメリカ航空宇宙局)のあるプロジェクトで大気学を研究していたジェームズ・ラブロック教授が提唱したもので、地球に生存する全ての生態系が一つの生命体ではないかとする魅力あふれる仮説である。
 地球に住む生き物(生命体)は大きく分けると3種類で、それぞれ役割があり密接に繋がっている。
 植物は「生産者」、動物は「消費者」、微生物が「分解者」と呼ばれる。
 まず生産者としての植物は太陽(光・熱)、雨(水)、空気(CO2)、土壌等の地球自然環境の中で生育しそれを動物が食糧として生きている。動物の中には肉食系もいてそれぞれ保ち合い数のバランスがとれて生存が維持されている。
 その動物達の排泄物や死骸、また植物の亡骸等も微生物が分解して土に戻し、その中に含まれる栄養素等が植物の根によって吸収され育ち、それをまた動物が食べる大きな循環になっている。このように密接な関係性の中で相互作用を繰り返し環境と共進化しながら
共存している。


 そして、生き物には「本能」と呼ばれるもの(意識・意志=生命)が備わっている。
  1、個の保存:命がある限り生き続けて行く
  2、種の保存:子孫を残し、命を次代に繋ぐ


 人類も同様で、思い為すことほとんどはこの本能で説明できるが、知能が進化した人間は少し異なる様相を呈していて、マズローが分析したように「社会的な欲求」や「自己実現の欲求」等が加わって様々な現象が見られる。が、やがて、長い歴史の中で脳が進化し人類の中にもう一つの本能が加わった。 
  3、人が喜ぶと嬉しい
 これは「共感」と言われ人間以外の動物には見られない。1と2が「自利」であるとすれば、3は「利他」と呼べるもので、1とは反対の概念が併存していることになる。
 仏教では「自利利他」と言われ、自分が幸せになってから他の人を幸せにする。ではなくて、他の人を幸せにすることで(ついでに)自分が幸せになるという意味だそうである。
 まさに、パーマカルチャーの原点はここにあるのではないか。
 ここを外すと正義感や名誉が先行し、訳が解らなくなるので心したいものである。

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