2013年02月04日
生命誌の世界 中村桂子~その知性と眼差し
最近本屋に行って遅まきながら「生命誌」と言う季刊誌があることを知った。
1993年から昨年まで20年間、凄いことに毎年ほぼ4冊づつ出版されて最新号では75号になっている。昨年度のテーマが「遊ぶ」で、若い頃に愛読していた松岡正剛の「遊」を思い出したから手に取ってみた。本を開くと最初に松岡との対談が掲載されいた。中村桂子の生命誌研究館と松岡正剛の編集工学研究所のスローガンが「生命に遊ぶ、歴史を開く、文化に遊ぶ」と共通していることにお二人がお互いに驚いたそうでなかみの濃い対談であった。(左が表紙、右がお二人の写真)
これがキッカケで、14年前の1999年何となく見たTV番組12回のシリーズ「生命誌の世界」NHK人間学講座のテキストを慌てて読み直した。当時興味ある内容とは思って買ったがさっと読んで暫く書棚に眠っていた。しかしこのたび読み返してパーマカルチャーを知っている今、改めて素晴らしい内容だと感激した。目からウロコどころではない。コウラが剥がれる想いである。(右側は目次)
彼女は生命誌研究家で大阪の高槻市にあるJT生命誌研究館館長でもある。近くに住んでたら入りびたりになりたい施設である。彼女は科学者でありながら、専門性のみに陥らず、常に人間としての日常の感覚との橋渡しと生命を基調にした社会づくりを考えている。母性あるいは女性性ゆえなのか、その視点が素晴らしい。
一昨年3.11の年の年末サンデーモーニングに特別コメンテーターとして出演し政界や東電の人達に「イマージネーションが無い!」とバッサリ言い放ったところは痛快であった。
人間にとって本当に望ましいものの解明に「生命科学」は重要な役割を担うとの視点で、「自然」・「人間」・「人工」の関係の繋がりからどのような社会が造れるか探って行きたい。また科学を文化にして行きたいとの希求から論を展開して行く。
パーマカルチャーの基本態度として「自然の観察」「伝統の智恵」「現代の科学・技術」の3つの要素があるが、「人工」とは都市・制度・政治・経済・科学技術等を指していて文化人・文明人としての視点である。
38億年と言う生命史から人という生き物が奇跡的に出現し、しかも現在の地球上の全生物と繋がっている。(Newton別冊より)
やがて人類は文化・文明を作り始めて「人間」となった。このことを考慮した社会づくりを考えて行く。これこそがパーマカルチャーなのである。
内容を全部書くと、膨大になるので、ここでは最後の章「生命を基本とする社会」からパーマカルチャーにとって大切なことを拾い上げてみたい。
戦後、画一性や均一性を重視された時期からの反動からか、最近「多様性」が取り上げられているが、「共通性」についてあまり言及されない。パーマカルチャーでも多様性は重要な原則の一つであるが共通性もシッカリ認識しておきたい。
●生物の共通するパターン
1、 積み上げ方式:最初の原核細胞から真核細胞そして多細胞と積み上げてきた様子がゲノムを見ると鮮明に見えてくる。
2、 内側と外側:個という独立の存在ながら、常に外部との係わり合っている。外は内と同じくらい大事。
3、 自己創出系:情報により組織化され、しかも、独自のものを生み出す。情報の基本はゲノム。
4、 複雑化・多様化:ゲノムは重複させ、変化させ、混ぜ合わせるのどしながら次々の新しいものを生み出す。
5、 偶然性:重複時や複製時に偶然に起きる変化で新しい能力が生じ新しい個体が生まれる。
6、 少数の主題で数々の変奏曲:基本は意外と単純で形の形成時に輪・らせん・放射形等パターンは決まっている。
7、 代謝:身体の分子は決して固定しないで、常に作られたり壊されたりしている。
8、 循環:情報は自分で調整・修正。血液も循環。自然界でも物質は循環している。生と死の循環もある。
9、 最大より最適:バランスが大事。栄養分は不可欠だが摂りすぎると毒になる。恐竜やマンモスも大きくなり過ぎた。(富や権力も大きくなると腐敗してくる)
10、 あり合わせ:周囲に順応し、周囲にあるものを活用していく柔軟性のある生き方が随所にみられる。(ブリコラージュ?)
11、 協力的枠組みの中で切磋琢磨:生き物は生きることに懸命だが、共生が重要なことが解ってきた。
12、 ネットワーク:生き物は相互に関係し合っている。
●以上をまとめると生きもののストラテージは
1、 多様だが共通、共通だが多様
2、 安定だが変化し、変化するが安定
3、 巧妙、精密だが遊びがある
4、 偶然が必然となり、必然の中に偶然がある
5、 合理的だがムダがある
6、 精巧な設計図は積み上げ方式で作られる
7、 正常と異常に明確な境はない
一見すると矛盾を抱え込んでいるようであるが、だからこそダイナミズムが保たれている。これが生き物を生き物らしくしいる。合理的だけではない。
生命のあり方を基本としながら「自然」「人間」「人工」を一体のものとした社会づくりが求められている。キーワードは「循環型社会」~一人一人の人間がその一生を思う存分生きることが出来る社会を目指そう。と中村桂子は提案している。
1993年から昨年まで20年間、凄いことに毎年ほぼ4冊づつ出版されて最新号では75号になっている。昨年度のテーマが「遊ぶ」で、若い頃に愛読していた松岡正剛の「遊」を思い出したから手に取ってみた。本を開くと最初に松岡との対談が掲載されいた。中村桂子の生命誌研究館と松岡正剛の編集工学研究所のスローガンが「生命に遊ぶ、歴史を開く、文化に遊ぶ」と共通していることにお二人がお互いに驚いたそうでなかみの濃い対談であった。(左が表紙、右がお二人の写真)
これがキッカケで、14年前の1999年何となく見たTV番組12回のシリーズ「生命誌の世界」NHK人間学講座のテキストを慌てて読み直した。当時興味ある内容とは思って買ったがさっと読んで暫く書棚に眠っていた。しかしこのたび読み返してパーマカルチャーを知っている今、改めて素晴らしい内容だと感激した。目からウロコどころではない。コウラが剥がれる想いである。(右側は目次)
彼女は生命誌研究家で大阪の高槻市にあるJT生命誌研究館館長でもある。近くに住んでたら入りびたりになりたい施設である。彼女は科学者でありながら、専門性のみに陥らず、常に人間としての日常の感覚との橋渡しと生命を基調にした社会づくりを考えている。母性あるいは女性性ゆえなのか、その視点が素晴らしい。
一昨年3.11の年の年末サンデーモーニングに特別コメンテーターとして出演し政界や東電の人達に「イマージネーションが無い!」とバッサリ言い放ったところは痛快であった。
人間にとって本当に望ましいものの解明に「生命科学」は重要な役割を担うとの視点で、「自然」・「人間」・「人工」の関係の繋がりからどのような社会が造れるか探って行きたい。また科学を文化にして行きたいとの希求から論を展開して行く。
パーマカルチャーの基本態度として「自然の観察」「伝統の智恵」「現代の科学・技術」の3つの要素があるが、「人工」とは都市・制度・政治・経済・科学技術等を指していて文化人・文明人としての視点である。
38億年と言う生命史から人という生き物が奇跡的に出現し、しかも現在の地球上の全生物と繋がっている。(Newton別冊より)
やがて人類は文化・文明を作り始めて「人間」となった。このことを考慮した社会づくりを考えて行く。これこそがパーマカルチャーなのである。
内容を全部書くと、膨大になるので、ここでは最後の章「生命を基本とする社会」からパーマカルチャーにとって大切なことを拾い上げてみたい。
戦後、画一性や均一性を重視された時期からの反動からか、最近「多様性」が取り上げられているが、「共通性」についてあまり言及されない。パーマカルチャーでも多様性は重要な原則の一つであるが共通性もシッカリ認識しておきたい。
●生物の共通するパターン
1、 積み上げ方式:最初の原核細胞から真核細胞そして多細胞と積み上げてきた様子がゲノムを見ると鮮明に見えてくる。
2、 内側と外側:個という独立の存在ながら、常に外部との係わり合っている。外は内と同じくらい大事。
3、 自己創出系:情報により組織化され、しかも、独自のものを生み出す。情報の基本はゲノム。
4、 複雑化・多様化:ゲノムは重複させ、変化させ、混ぜ合わせるのどしながら次々の新しいものを生み出す。
5、 偶然性:重複時や複製時に偶然に起きる変化で新しい能力が生じ新しい個体が生まれる。
6、 少数の主題で数々の変奏曲:基本は意外と単純で形の形成時に輪・らせん・放射形等パターンは決まっている。
7、 代謝:身体の分子は決して固定しないで、常に作られたり壊されたりしている。
8、 循環:情報は自分で調整・修正。血液も循環。自然界でも物質は循環している。生と死の循環もある。
9、 最大より最適:バランスが大事。栄養分は不可欠だが摂りすぎると毒になる。恐竜やマンモスも大きくなり過ぎた。(富や権力も大きくなると腐敗してくる)
10、 あり合わせ:周囲に順応し、周囲にあるものを活用していく柔軟性のある生き方が随所にみられる。(ブリコラージュ?)
11、 協力的枠組みの中で切磋琢磨:生き物は生きることに懸命だが、共生が重要なことが解ってきた。
12、 ネットワーク:生き物は相互に関係し合っている。
●以上をまとめると生きもののストラテージは
1、 多様だが共通、共通だが多様
2、 安定だが変化し、変化するが安定
3、 巧妙、精密だが遊びがある
4、 偶然が必然となり、必然の中に偶然がある
5、 合理的だがムダがある
6、 精巧な設計図は積み上げ方式で作られる
7、 正常と異常に明確な境はない
一見すると矛盾を抱え込んでいるようであるが、だからこそダイナミズムが保たれている。これが生き物を生き物らしくしいる。合理的だけではない。
生命のあり方を基本としながら「自然」「人間」「人工」を一体のものとした社会づくりが求められている。キーワードは「循環型社会」~一人一人の人間がその一生を思う存分生きることが出来る社会を目指そう。と中村桂子は提案している。
Posted by 半農半Xの仕掛け人 at 07:34│Comments(1)
│その他
この記事へのコメント
12月27日のサンデーモーニングを拝見。
中村桂子さん、なにか意見を述べたり解説をするとき、鼻で『フフン』といちいち笑う。
癖なのかも知れませんが、とても不快。
立派な方なのかも知れませんが、おやめになった方がよろしいかと思いました。
中村さんにお伝えくださいませ。
中村桂子さん、なにか意見を述べたり解説をするとき、鼻で『フフン』といちいち笑う。
癖なのかも知れませんが、とても不快。
立派な方なのかも知れませんが、おやめになった方がよろしいかと思いました。
中村さんにお伝えくださいませ。
Posted by yu at 2015年12月28日 15:59